私が子どもを産みたいと言えなかった理由

  • 2018.05.26 Saturday
  • 11:30

 

 「翁川さん、結婚した方がいいし子どもも産んだ方がいいわ」と、大学院生だった頃の私に言った人がいました。当時の私がショックを受けたのは、言うまでもありません。なぜならそうした発言は、当時の風潮では場合によっては容易にハラスメントと受け取れるものでもあったからです。さらにその人は、長年、女性相談員をやってこられ、ご夫婦の間に三人のお子さんがおり、後に大学教員として活躍されていた自立した女性の模範ともいえる人だったことも、私を困惑させました。「なぜそんなことを言うのだろう?」しかしその人は間違いなく、女として、母として、ひとりの個人として、生きている人でした。若き私は「成熟した女性」というべき感性を、その人から浴びるように感じていたのです。

 

 ロールや立場が変わると、見えてくる世界があります。日本の結婚制度からの解放や社会での女性の権利を尊重していた私は、「私は結婚もしないし子どもも産まないだろう」と思っていましたし、結婚や出産などは「考えることすらできないもの」で、かろうじて「批判すること」ができるだけでした。これこそが、当時の私の心のありようを現しているのです。そんな私に子どもが誕生し、結婚しました。そこでおこった世界の見え方がまるで変ってしまうような地殻変動によって、私がそれまで築き上げてきた知性を自らの手でいったんひっくり返すことになったのです。

 

 私と同じように、子どもの出産を機に自分の人生がひっくり返るような衝撃を経験された女性は、きっと多くいることでしょう。

 

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